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男が愛するクルマと腕時計のデザインの共通点

 

G-SHOCKは誕生してから30年を超えて、現在では、世界からも耐衝撃プロダクトウォッチとして高く評価されている。そんな日本が誇るG-SHOCKに潜んでいる魅力を、カーデザイナーの服部 幹氏とG-SHOCKチーフデザイナーの後藤敦司に語っていただいた。

服部 幹(以下、服部) 私は、カーデザインの世界にこれまで携わったきたのですが、腕時計のプロダクトデザインには、独特な難しさを以前から感じています。実際の製作現場については、どうなんですか。

後藤敦司(以下、後藤) たとえば、G-SHOCKを代表するフラッグシップモデルでもあるMT-GやMR-Gの場合、少しでも妥協すると中途半端になってしまうので、コストや手間のことは気にせず、パーツひとつにもこだわり抜いています。メタル素材の良さを前面に打ち出すため、G-SHOCKにしては過度な緩衝材を排し、強さと美しさという、ある意味相反するものの融合を追求したMT-Gは、いわば “引き算のデザイン”。


カーデザイナー・服部 幹氏

そのぶん、“磨き” については、かなりこだわりました。ブレスレットの中コマを別パーツにしたり、ケースをいくつかの部品にわけたのも、細部をサテンとポリッシュで磨きわけるためです。MR-Gにかんしては、GPS機能をこのサイズに収めるのに苦労しましたね。ヴィンテージカメラの軍艦部、巻き上げレバーやシャッター形状から着想した、耐衝撃性をもつリューズやボタンのデザインは、従来必要だったガードをなくして少しでもコンパクトにするための新技術を開発してはじめて可能となったものです。

服部 私も腕時計をデザインしたことがあるのですが、この2つのモデルを拝見して目に留まったのは、文字盤の立体感ですね。深さの表現の方法がおもしろいと思います。個人的に時計の機能についてはあまり興味がないのですが、プロダクトとして、なぜこんな形状になっているのだろう、と気になってしまいました。

後藤 G-SHOCKには「耐衝撃性」というアイデンティティが明確に存在していて、ブランドビジョンはそれを進化させていくこと。デザイナーがやらなければならないことも、わりとはっきりしています。ただ、形状的にタフな世界観から逸脱し過ぎると、G-SHOCKに見えなくなってしまう。どこまで許されるか、境界線でのせめぎ合いはありますね。