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モンブラン |新作情報!(その1)SIHH 2017 ジュネーブサロン

今年のモンブランの新作は、モンブランらしいこだわりのモデルが続々と登場した。まず注目したいのは、主力コレクションの中心的な柱としてモンブランのブランドアイデンティティの一翼を支えてきた「タイムウォーカー」コレクションだ。搭載されているムーブメントはヴィルレ工房(すなわちミネルバ)で開発されているものもあり、ミネルバがその名声を確立させた100年ほど前のモーターレースでのコンセプトや時代背景までをも徹底的に掘り下げ、100年の時を超えて見事にその魂をモデルに詰め込んだところはまさに「タイムウォーカー」という名にふさわしいものだと言えるだろう。


特に、今回紹介するタイムウォーカーの新作の中にもふんだんに盛り込まれているミネルバのクロノグラフ機構は、いわば腕時計のストップウォッチ機能であるが、その発展の歴史はモーターレースの発展の歴史と切り離して考えることは出来ない。より高速化を求めるモーターレースの進化は、より精密な計時によるラップタイムやゴールタイムの記録を要求されるものであった。真剣勝負のカーレースの歴史の中で、1911年には5分の1秒を測るストップウォッチを開発、その後も精度は上がり続け、まもなく10分の1秒を達成。さらに1916年には100分の1秒を計測可能な高周波ムーブメントを開発。それは1936年にはオリンピック競技で採用されており、この年までの20年間、世界で最も精確に時を刻むウォッチとして君臨した。その確かな実績の元、ミネルバマニュファクチュールはプロフェッショナルユースのウォッチ、ストップウォッチのブランドとしてレーサーやジャッジからゆるぎない信頼を得て、やがて世界各地で開催されるモーターレースで採用されるようになっていったのだ。


中面-2 そんなミネルバの歴史を内包し、かつ、進化を遂げた形で我々の目の前に姿を現したのが最初に紹介する「モンブラン タイムウォーカー クロノグラフ 1000 リミテッドエディション 18」だ。このモデルの特徴はなんといっても、ミネルバが誇った100分の1秒という、実感さえ難しいごくわずかな時の進みをさらに押し進め、当時の10倍の精確性を誇る、1000分の1秒を計測するクロノグラフを生み出したことだ。その自社開発キャリバーには、7時位置の18,000振動/時(2.5Hz)の時刻表示用のものと、10時位置の360,000振動/時(50Hz)のクロノグラフ用のものとの、2つのバランステンプが組み込まれていて、1000分の1の計時に必要とされる理論上の周波数である500Hzは、50Hzのクロノグラフ用のバランステンプと、1秒に10回転し100分の1秒をさらに10分割する「モビル・ド・ミリエム」機構を組み合わせることで実現している。ミネルバのヴィンテージのストップウォッチ同様、クロノグラフ用のモノプッシャーは12時位置にセット。スピードメーターを思わせる12時位置に配置された1/1000分の1秒インジケーターや燃料表示計を彷彿とさせるクロノグラフパワーリザーブ、ローレット加工を施したリューズ、レッドカラーのガスケット、レッドライン入りのホールやスティッチ付きブラックアリゲーターストラップ等、往年のモーターレースで覇を競ったクラシックカーの美学にインスピレーションを得たデザインを盛り込んでいる。ケースは46.4mmと大振りに見えるが実際腕に乗せるとその大きさを感じさせないフィット感があり、ケース素材も軽量で堅牢なブラックDLC加工サテン仕上げのチタン製を採用することで重さも気にさせない繊細な心配りがモンブランらしい配慮だといえるだろう。