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日本の自然風景の中に秘められた美しい生命

 

金属ではなく、貝やべっ甲、象牙、水牛などの有機素材の表面を1mm以下と、ごく浅くくり抜き、貴金属や貝をはめ込む象嵌技法「ピクウェ」。この繊細なこの宝飾技法は16世紀末にフランスではじまり、ヨーロッパを中心に約300年間に渡り親しまれたが、19世紀末になると時代の変化とともに姿を消し、その技術も職人とともに失われてしまった。

だが、この幻の技法の再現に世界で唯一、日本の宝飾作家・塩島敏彦(しおじま・としひこ)氏が成功。2012年からセイコーは塩島氏とコラボ―レションをおこない、この技法を使った美しい文字盤の腕時計を限定で発売してきた。

そして2013年のバーゼルで発表された新作が、春と夏をテーマに、日本の伝統的な意匠である鹿の子百合(かのこゆり)と揚羽蝶(あげはちょう)をそれぞれマザー・オブ・パールの文字盤に純プラチナ、純金、18Kグリーンゴールドの3つの素材・3色で情感豊かに再現した、優雅なトノー型のこのレディスウォッチ。幻の技法と日本の繊細な美意識が結晶した特別な逸品である。